僕のonly princess


勇也の言う通り、私は自分のことしか考えてなかった。
私の事情を薫くんが知って、薫くんの私に対する態度が変わってしまうんじゃないかって不安で、ただ知られたくない一心であんな行動をして。


今までだって、ずっとそう。


送ってくれると言う薫くんを拒否し続けてきて、今日はその優しい薫くんの手を離してまで勇也の手を取るような真似をしたんだ。


薫くんが傷ついて当然だ。
逆に私が同じことをされたら、悲しくてどうしていいかわからなくなる。


……薫くん、ごめんなさい。


私は自分の愚かさに激しく後悔して、俯いたまま溢れてきた涙を止めることができなかった。


「……バカ。泣くほど後悔してんなら、あんなことすんな。さっさと江本に本当のこと話して誤解を解けよ。アイツなら受け止めてくれるんだろ?」


「……受け止めて……くれるかな?」


「知らねぇよ。でも、今のアイツはお前のこと本気で好きみたいだから大丈夫なんじゃねぇの?」


涙声で弱々しく訊いた私に勇也は面倒くさそうな声でそう言って、俯く私にハンカチを差し出してくれた。


ぶっきらぼうで面倒くさそうなくせに、結局勇也はいつも優しいんだ。
そうやって今までの私のことを助けてくれてきた。
今も勇也の言葉に、少しだけ勇気をもらえた気がした。


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