僕のonly princess



*薫 side*


結花と倉石くんを乗せた電車がホームからいなくなっても、俺はしばらくその場を動くことができなかった。


今日は本当にとても楽しい1日だった。


いつもよりも少し遠出して出掛けた水族館。
水族館が初めてだと言う結花と広い館内を隅から隅まで見て回った。


水槽の大きさや魚の数やその幻想的な美しさ一つ一つに感激して喜ぶ結花。
イルカとアシカのショーに子供みたいにはしゃいでいた結花。


そんな結花が本当に可愛くて、溢れてくる結花に対する愛しさには限りなんてなくて。


俺に向けてくれる結花の気持ちの篭った笑顔があんまりにも可愛すぎて、俺の理性なんてあっという間に飛んでしまった。


初めて触れた結花の唇は柔らかくてとても甘くて。
触れるだけのキス一つでこんなにも幸せな気持ちになれるんだと、初めて知った。


今日の記念にと買ったお揃いのイルカのストラップだって、本当に嬉しかったんだ。
今までそんなこと思ったこともなかったけれど、結花とお揃いのモノを持つってことがすごく特別な気がして。
それが小さなストラップだって、俺にはとても特別な意味があった。
買ってもらうんじゃなくて、一緒に買いたいっていう結花の気持ちも本当に嬉しかった。


水族館で過ごした結花との時間はどれもすごく楽しくて幸せだった。


今日1日をそんな幸せな気持ちで終えるはずだったのに……
なんでこんなことになったんだろう?


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