僕のonly princess
ゆいかちゃん、緊張しているのかもしれない。
緊張が紛れるような話題がないかと思って、思考を廻らす。
でもなかなか気の利いた話題が思い浮かばなくて。
俺は一つ、彼女に訊きたかったことを思い出して口を開いた。
「ゆいかちゃんってどんな漢字?」
「…え、あぁ名前の漢字?えっと…結ぶに花で結花です」
急な話題の振り方に、ちょっとびっくりして目を丸くしながらも結花ちゃんはちゃんと答えてくれた。
「結花ちゃん…、うん、可愛い名前だね」
教えてもらった漢字を頭に浮かべて、何気なく俺がそう言うと結花ちゃんはポッと頬を赤く染めた。
その素直な反応が可愛らしくて、面白い。
ちょっと虐めたくなるくらい可愛らしいから、わざとプッと噴出して「真っ赤だね」と言うと、結花ちゃんの頬の赤みがもっと増す。
それを両手で覆って、俯いてしまった結花ちゃんにクスクスと笑いながら「ごめん」と謝った。
笑いながら謝っても全く反省の色なんて伝わらないとわかっていても、浮かんでくる笑みを消すことはできなくて。
「りんごみたいに真っ赤で可愛いから、つい虐めたくなったんだ」
俺がそんな風に言えば、結花ちゃんは真っ赤に染まった顔で困ったように眉を下げてちょっと恨めしそうに俺を見上げた。