僕のonly princess
「理子ちゃんっていうの?可愛いな。薫ってば溺愛じゃん」
忠くんが薫くんの肩越しに理子ちゃんの顔を覗き込みながら薫くんをからかう。
でも理子ちゃんに向ける笑顔はとっても優しくて。
理子ちゃんの愛らしさがそうさせているんだと思った。
「ホント、小さい子って周りにあんまりいないからわかんなかったけど、ほっぺとかめちゃくちゃぷにぷにしてて可愛い!」
忠くんよりも目をキラキラさせて理子ちゃんのほっぺを突っつく吾郎くんは、かなりの子供好きらしい。
さっきまでとは明らかに違う吾郎くんのテンションの高さにびっくりしながら、私も笑顔で理子ちゃんを囲む三人を見ていた。
「あら理子、モテモテね」
そんな私達のところへ近づいてきた女の人の声に思わず振り返ると、びっくりするほど綺麗な女の人が微笑んでいた。
150㎝後半の私よりもずっと背が高くてすらっとした細身で、モデルさんと言われても疑わないほど整った顔立ち。
その人から溢れる大人の雰囲気は母だからなのか、それとも元々この人が持つものなのか。
……この綺麗な女の人は、理子ちゃんのお母さんで、薫くんのお姉さんだ。
私は直感でそう気付いた。