僕のonly princess


薫くんともう一度付き合うことになったあの日。
薫くんから聞いたお姉さんとの過去と今の関係。


薫くんがずっと……好きだった人。


私は目の前で微笑む薫くんのお姉さんに、チクリと胸が痛むのを感じだ。


「佐知、紹介するね。この二人が俺の親友の吾郎と忠。それからこっちが結花だよ」


抱っこしていた理子ちゃんをお姉さんに手渡しながら、薫くんが吾郎くん達を紹介して、隣に立っていた私をチラッと見ると、私の肩を引き寄せながら笑顔で私を紹介してくれた。


急に抱き寄せらせてびっくりしていると、クスクスと軽快な笑い声が聞こえてきて私は思わず顔を上げた。
理子ちゃんを抱っこしているお姉さんが、嬉しそうに目を細めて私を見つめていた。


「はじめまして。薫がいつもお世話になっています。姉の佐知子です」


「は、はじめまして!鶴見結花です」


慌てて頭を下げて自己紹介すると、お姉さん……佐知子さんと薫くんが声を合わせて小さく笑った。
自分の慌てぶりが恥ずかしくなって、真っ赤になった顔を上げると薫くんと佐知子さんが同じように目を細めていて。
その二人の表情がとても似ていて私は瞬きをして二人を見つめた。


確か本当の姉弟ではない二人。
だけど、今、私を見つめる薫くんと佐知子さんはその表情も雰囲気もそっくりだ。


従姉弟だから似ている……と言えばそれまでだけど。
何だかそれ以上のものが二人にはある気がして、またチクリと胸が痛んだ。


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