僕のonly princess
「結花ちゃんって本当に可愛らしいわね。薫が夢中なのも頷ける」
「………!?」
さっき吾郎くんにも言われた言葉を今度は佐知子さんが嬉しそうに口にする。
私は驚きと嬉しさの入り混じったような不思議な気持ちで、赤い顔で目を丸くさせた。
「でしょ。結花はホント可愛いんだ」
薫くんが佐知子さんの言葉に当然という顔をしてニヤッと口角を上げる。
私は赤い顔をさらに赤くさせて、なんて答えていいのかわからずに熱く火照った頬を両手で覆った。
「佐知子、いくら可愛いからと言ってそんなに虐めると嫌われるぞ」
いつの間にか佐知子さんの後ろ背の高い男の人が呆れたような顔で立っていた。
その人に向かって佐知子さんに抱かれていた理子ちゃんが「パァパ~」と言って小さな両手を伸ばした。
理子ちゃんのパパと言うことは、佐知子さんの旦那さん。
「あら、虐めるなんてとんでもないわ。薫の初恋の女の子が思った通り可愛らしくて嬉しくなってたのよ」
心外だと少し拗ねた言い方をする佐知子さんは、さっきまでと雰囲気が少し違っていて、でもやっぱり綺麗な人はどんな仕草をしても綺麗だ。
そんな佐知子さんに旦那さんは肩を竦めて小さな溜息を吐いた。
それでも佐知子さんに向ける瞳は優しくて温かく感じられる。
佐知子さんにもそんな旦那さんの眼差しが届いているんだろう、とても幸せそうに「ふふっ」と綺麗な笑顔を浮かべた。
「結花ちゃん、吾郎くん、忠くん。この人は私の旦那様の理さん。今日のバーベキューの提案者よ。よろしくね」
「「「よろしくお願いします」」」
吾郎くん達と私は声を合わせて理さんに向けて頭を下げた。
理さんは私達に優しい笑みを浮かべると、小さく頷きながら「よろしく」と返事をしてくれた。