僕のonly princess
「さぁ、そろそろ準備も整ったし、向こうへ行こう。お義母さんも痺れを切らしているぞ」
みんなで『はーい』と返事をして、私達はお庭の奥へと向かった。
広いお庭の一角に、立派なテーブルセットが用意されていて、少し離れたところにあるバーベキューコンロには美味しそうな音を立てて、豪華な食材が並んでいた。
「うわぁ、すげぇ!めちゃくちゃ美味そう!!」
忠くんがバーベキューコンロの上を見て、目をキラキラさせながら声を上げた。
「たくさん用意したから、いっぱい食べてね」
テーブルの上にお皿を並べていた優しそうな女性がにこにこと笑いながら私達に声を掛けてくれる。
ふわりとしたその笑顔が薫くんにとてもよく似ていた。
見た目はとても若々しいけれど、この人はきっと……
「おばさん、ありがとうございます!!」
忠くんはキラキラした目をその女性に向けて、二カッと満面の笑顔を見せた。
「おばさん、お久しぶりです。今日はお邪魔させて頂いてありがとうございます」
忠くんの隣で、礼儀正しく挨拶をする吾郎くん。
忠くんと吾郎くんの言葉から、やっぱりこの優しそうな女性が薫くんのお母さんだとわかった。
「母さん、俺がお付き合いしてる鶴見結花さん」
薫くんに紹介してもらって、私は佐知子さんの時を同じように慌てて頭を下げて「はじめまして!」と挨拶とした。
そんな私に薫くんのお母さんはにこにこ笑顔のまま「よろしく」と言ってくれた。
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
「まあ、とっても可愛らしいお嬢さんね。薫の彼女なんて初めて紹介されたけど、なんだかとっても嬉しいものね」
薫くんのお母さんの言葉にまた私の顔が赤くなる。
佐知子さんもお母さんもこんなに私を好意的に受け入れてくれて。
なんだかくすぐったいような、嬉しい気持ちでいっぱいになった。