僕のonly princess

「……」


思わず、ドキッとしてしまった。


計算された上目使いは散々されてきたし、慣れているからイチイチ反応なんてしない。
でもこの無計算の上目使いとその表情の威力は結構すごい。


心の隅にいる冷めてる俺がそう他人事みたいに分析していた。


内心の動揺と分析を誤魔化すように結花ちゃんを笑顔で見つめていると、注文したケーキが運ばれてきた。


結花ちゃんは目の前に置かれたチョコレートケーキに目をキラキラさせている。
さっきまでの困ったような顔は、嬉しさを隠せないといった具合に笑顔でいっぱいになった。


「頂きます！」と丁寧に両手を合わせて、結花ちゃんはフォークで一口ケーキを掬って口に運んだ。
その間も、ケーキを口に入れた後も結花ちゃんの笑顔は増すばかりで。


「美味しい！！」


幸せそうな結花ちゃんの笑顔に俺までつられて顔が緩んだ。


まっさらで、素直な結花ちゃんの反応や表情は見ている俺も同じような気持ちにさせる。


どこか胸のあたりが温かいような…そんな不思議な気持ちになった。