僕のonly princess
こんな素敵なお友達ができて、嬉しいな……と、最初の戸惑いも忘れて私は少し浮かれていた。
「結花、帰りに学校の周りも案内してくれない?色々お店とかも知りたいし」
帰りのHRが終わって、帰り支度をする私にエミリちゃんは笑顔でお願いしてきた。
私は一瞬、「あ……」と呟いて、眉を下げてエミリちゃんに「ごめんね」と謝った。
「私この後、約束があって……待ち合わせしてるの」
「待ち合わせ?もしかして、彼氏?」
エミリちゃんは察しもいいらしい。
私は“彼氏”という単語に反応して、顔を赤らめて小さく頷いた。
「……うん、そうなの」
「結花、彼氏がいるんだ!いいなぁ、羨ましい!!どんな人?かっこいい??」
なぜかテンションの上がったエミリちゃんは乗り出すような勢いで立て続けに訊いてきた。
私はちょっとびっくりして、それでも薫くんのことを学校で誰かに話すなんてないことだから照れながらエミリちゃんに答えた。
「かっこいいよ。それにすごく優しい人」
照れ笑いをして、赤い顔で答えた私にエミリちゃんは「素敵!」と声を上げて目をキラキラさせた。
どうしてこんなにエミリちゃんが興奮しているのか、私にはよくわからなかったけれどその様子に嫌味なんて少しもないように思えて、私は赤い顔のまま「へへへ」と笑った。