僕のonly princess
「年上?それとも同い年?あ、もしかして年下?」
「薫くんも私達と同じ高校二年生だよ」
「薫くんって言うの?名前も素敵なんだねぇ!ねぇ、私にも紹介してよ、結花の彼氏!」
「え……紹介?」
キラキラした瞳のまま、私の両手を握ってそう言ったエミリちゃんに一瞬、私は戸惑ってしまった。
エミリちゃんを薫くんに紹介って……
今までたくさんの女の子に告白されてきた薫くん、今だって彼がモテることに変わりはない。
もしかしたら、エミリちゃんも……
一瞬、そんな不安が脳裏をよぎった。
「日本に帰国して初めてできた友達の彼氏に『よろしく』って挨拶したいわ!」
満面の笑顔でそう言ったエミリちゃんに、私は首を横に振ることはできなかった。
薫くんがかっこよくてモテるからと言って、すべての女の子が薫くんを好きになるとは限らないよね。
エミリちゃんは純粋に友達である私の彼氏に会いたいって思っているみたいだし、それをダメなんて言うのは、変……だよね。
私は自分をそう納得させて、薫くんとの待ち合わせ場所であるいつもの駅へ向かうためにエミリちゃんと一緒に学校を後にした。
私のこの嫌な予感が、的中するとも知らずに…―――――