僕のonly princess
翌朝、私はいつも通り学校へ登校した。
教室に入って自分の席につくと、教室に入ってきたエミリちゃんも私の後ろの自分の席に座った。
「結花、おはよう」
「おはよう、エミリちゃん」
昨日のことで少し気まずいなと感じてしまうのは、仕方ないと思う。
でも薫くんにも言ったように、私はこの学校で初めてできた友達っていう存在が素直に嬉しいと思っていたから、できるだけエミリちゃんとは自然でいたい。
そう思って、私がエミリちゃんに話しかけようとしたそのタイミングで、エミリちゃんの方が先に口を開いた。
「薫くん、本当にかっこいい人だね」
「…え?」
いきなり薫くんの名前を出させて、嫌な予感が胸を襲う。
エミリちゃんの意図がわからずに瞬きをする私をエミリちゃんは強い視線で見据えた。
「私、薫くんのこと好きになったの」
「………」
はっきりと決定的な言葉を口にするエミリちゃんに私は言葉を失って目を見開いた。
「私のこの気持ちはたとえ彼女の結花でも止める権利はないわ。私は薫くんが欲しいの」
エミリちゃんは私を見据えたまま、強い意志を含ませた声でそう言ったエミリちゃんに、私は何も言い返すことができなかった。
エミリちゃんの薫くんへの気持ちを私には止める権利がない。
それは確かに正しいと思う。
私だって、薫くんに彼女がいた時もずっと薫くんを好きだった。
それは他人がどうこう言えるものじゃないっていうことはとってもよくわかる。
でも……こんなにはっきり宣戦布告のように告げられると、戸惑いと不安でどうしていいのかわからなくなった。
薫くんの気持ちを疑ったりはしない。
昨日もあんなに強く真っ直ぐに私に想いを見せてくれた薫くんだから、私もちゃんと信じることができる。
だけどそれでも……私の心に湧いた不安は、消すことはできなかった。