僕のonly princess
明かされた秘密
日曜日。
薫くんとの約束の日。
私達は付き合い始めたばかりの頃来たショッピングモールに来ていた。
あの時と同じように映画を見て、ランチをした後、移動するためにエレベータに向かった。
ショップの並ぶ通りから少し奥にあるこの場所は休日なのに、珍しく人気が少ない。
喧噪の音が遠くに聞こえるほど、静かだった。
「……こんにちは」
そんな場所で私達に声を掛けてきた人に私は驚いて目を見開いた。
「薫くん、少し話がしたいの」
そう言って隣にいる私のことなど眼中にないとばかりに薫くんを見つめる女の子……エミリちゃんはとても真剣な顔をしていた。
「今は結花とデート中だから。それに君と二人で話すようなことは俺にはないよ」
薫くんは私には見せないような少し厳しい顔をれして、エミリちゃんに答えると私と繋いでいた手を引き寄せてその場を去ろうとした。
けれど、エミリちゃんはそれを阻むように一歩、私達との距離を縮めて更に言葉を続けた。
「結花のことで話がしたいの」
「結花のこと?」
怪訝そうな顔でエミリちゃんを見返す薫くんと、真剣な顔で頷くエミリちゃんに私は嫌な予感がしてドクドクと心臓が波打つ。
私の話って……何?