僕のonly princess
その後、結花ちゃんと一緒に飲み物とお約束のポップコーンを買って、彼女が選んだアクション映画を見た。
いつもは上映の2時間半くらいの時間が長く感じられるのに、今日は俺も映画をしっかり堪能してあっという間に時間が過ぎた。
気付くとエンドロールが流れていて。
こんなに映画を楽しめたのはいつ振りだろうと思った。
シネコンを出ても少し興奮気味の結花ちゃんは、本当にアクションものが好きなんだろうなって隣で彼女が嬉しそうに話す映画の感想に相槌を打ちながら俺も嬉しくなっていた。
時間は1時過ぎ。
そろそろお腹も空いたし、お昼を食べにどこかお店に入ろうと結花ちゃんをレストランエリアに促しながら歩いていると、俺達の数歩前で蹲る幼稚園児くらいの一人の男の子が目に入ってきた。
明らかに様子が変で歩きながら目はその子を捕えていた。
それは隣の結花ちゃんも同じらしく、楽しげに話していた映画の感想がピタリと止まった。
不意に結花ちゃんが俺の隣から駆け出して、蹲る男の子のところへ向かった。
「え?」
突然のことに驚いて、思わず足が止まった。