僕のonly princess



私の幸福はそれだけでは終わらなかった。


その場が落ち着いて、しばらくするとどこにいたのか薫くんの家族がリビングに現れると涙で潤んだ瞳をしたおばさまにいきなりギュッと抱き締められた。


「結花ちゃん、えらいわ。よく頑張ってきたのね」と涙声で言われた時は、思わず止まっていた涙が溢れてきた。


まるで母に抱き締められているような錯覚がして、私は泣きながらおばさまを抱き締め返していた。
おじさまも佐知子さんも理さんもそんな私を優しく受け入れるように見つめてくれていて。
事情のわからない理子ちゃんが涙の止まらない私を慰めるように私の髪を撫でてくれている小さな手がとても温かかった。


本郷さんは改めて薫くんの家族に私達の事情を話してくれた。
そしてとても真剣な表情で


「これから結花ちゃんと家族になれるように努力していきたいと思っています。薫くんと結かちゃんはお互い真剣に想い合っているようですし、今後も色々とお世話になると思いますがよろしくお願いします」


と頭を下げた。


「いえいえ、こちらこそ。まだまだ足りないことの多い息子ですが結花ちゃんとお付き合いさせて頂いてとてもいい影響を頂いていますし、これからは家族ぐるみでよろしくお願いします、本郷さん」


「ありがとうございます」


そんな父親同士の会話を聞いて、私はなんだかとても恥ずかしくなってしまった。
薫くんとのお付き合いを改めて認めてもらえるのはすごく嬉しいことなんだけど、だってこの会話ってなんだか……


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