僕のonly princess


たいちくんも結花ちゃんの話に段々と元気を取り戻して、笑い声まで上げるようになった。


「お姉ちゃん、それはレッドだよ!」


「あれ?そうだった?ブルーじゃなかった?」


「違う、違う!もう、お姉ちゃん、ちゃんと見てたの?」


二人が話しているのは日曜日の朝にやってるらしいレンジャーものの話題。
結花ちゃんが少しわざとらしく間違ったことを言うとたいちくんは得意げな声で訂正して、ケラケラと笑い出した。


さっきまであんなに泣いてたのに、すっかり結花ちゃんと打ち解けて楽しそうにしているたいちくんの声に、結花ちゃんはすごいな……と思った。


迷子になって不安でいっぱいだった子をすぐに笑顔にできる結花ちゃんは、やっぱり今まで一緒にいた女の子達とは全然違う。
きっと彼女達ならたいちくんに声をかけることすらしない。
いや、俺だって一人だったらどうしていただろう……と思うと、迷いもなくたいちくんの元へ駆け寄った結花ちゃんはすごいって思った。


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