僕のonly princess
俺の後ろで結花ちゃんとたいちくんが楽しそうにレンジャーものの話を続けているのを聞いていると、目的の迷子センターが目の前に見えてきた。
迷子センターのカウンターの前で一人、女の人が必死に受付の人に話しかけている。
遠目に見てもかなりその必死さが伝わってくる。
きっとあの人……
「あ、……ママ。…ママ~~~!!」
俺がもしかしてと思って後ろを振り向きかけたのと同時に、結花ちゃんと笑い合っていたたいちくんが迷子センターの前にいる女の人に気付いて、小さな声で『ママ』と呼んだあと、大きな声で『ママ』と呼びながら俺達のそばから駆け出した。
その声に気付いた女の人がびっくりして振り返って、駆け寄るたいちくんを見ると大きく両手を広げて『たいち!』と叫んだ。
たいちくんはお母さんのところへあっという間に駆け寄ると、彼女の広げた腕の中に飛び込んだ。
「ママ、ママ……!」
やっぱりママと離れて迷子になっていた時の不安が大きかったのか、たいちくんはお母さんの腕の中で何度も『ママ』と言って泣き出した。
そんなたいちくんをギュッと抱き締めて何度も頭を撫でながら、『たいち、ごめんね』と呟くお母さんも涙声で。
二人を見ながら、会えてよかったとホッとした。