僕のonly princess


俺が笑い出したことが余計に恥ずかしいのか、結花ちゃんは真っ赤な顔を両手で隠して俯いたまま顔を上げてくれない。
でもその顔が無性に見たくて、俺は手を伸ばしてそっと結花ちゃんの髪に触れた。


「結花ちゃん、顔上げて?」


「………」


俺の言葉にピクッと肩を揺らして、おずおずと顔を上げた結花ちゃんはやっぱり真っ赤な顔で。
その想像以上に可愛らしい顔に俺はにっこりと笑いかけてもう一度「ありがとう」と呟いた。



その後、二人してちょっぴり照れたままパスタを食べて、ショッピングモールをゆっくり回った。


結花ちゃんと二人で過ごす時間は今までの女の子達と過ごしていた時間とは全然違うように思えた。


今までみたいに斜に構える必要がない……というか、無意識のうちに素の自分でいられた。


そして、結花ちゃんといると心がほっと温かくなる。


それはこれまで感じたことのなかった感覚で。
自分でもその正体がよくわからない。
でも全然嫌な気がしないどころか、寧ろとても心地よかった。



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