僕のonly princess



**********


最悪な気分で目覚めた俺はベッドの上で深い溜息を吐いた。


あの夏の夜、佐知に拒絶されてから俺の心は止まったままだ。


報われることのない気持ちだとわかっていても、佐知のことを忘れることなんてできない。
それは今も同じ。


あれからもう2年も経っているのに、今も俺は立ち止まったまま。
暗闇から抜け出せないで、冷えた心を抱えて、ただ踠いているだけ。


自分でもどうにかしたくて、流されるままになるのが嫌でストレートで上がるはずだった高校へは行かずに、公立の高校を受験した。
そこで出逢ったそれまでの友達とは違うタイプの忠と吾郎とつるむようになった。


だけどやっぱり何にも変わらない。


言い寄ってくる女の子と都合よく付き合って、上辺だけの関係を持ってみても佐知じゃない彼女達に心が揺れることはなかった。


そんなことばかり繰り返して、心は冷える一方。


この闇から抜け出せる方法なんて、見つからない。






だけど……




< 39 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop