僕のonly princess


……さっきから学校から出てくる女の子達が、校門の前に立つ俺にチラチラと視線を向けている。
ちょっと離れたところで俺の方を見ながら、コソコソ話している子達もいる。


やっぱり女子高の前で男が立ってるのって、怪しいのかな?


あまり周りからの視線を気にする俺じゃないけど、こんなところで待っていると結花ちゃんが困ってしまうかもしれないと場所を移そうかと思案していた。


「あ、あの!江本薫くんですよね?」


突然、後ろから声を掛けられて振り返ると知らない女の子が3人、目をキラキラ……いや、ギラギラさせて立っていた。


「うん、そうだけど」


心の中では『ゲッ』と思いつつ、俺が作った笑顔を向けると彼女達は『キャー』と黄色い声を上げた。
こんなところでそんな反応、やめてもらいたい。
遠巻きに見ていた他の女の子達まで近づいてきて、なぜか俺の周りには人垣ができていた。


「こんなところでどうしたんですか?」


「誰かを待っているんですか?」


「今、付き合ってる人っているんですか?」


矢継ぎ早にあちこちから質問の声が聞こえるけど、イチイチ答える義理はないから笑顔を向けることで誤魔化した。
何をどう思ったのか、そんな俺の顔を見てなぜか『キャー』と騒ぐ女の子達。


ホント、どうしてこんなに騒がしくできるんだろう。


明るい女の子は可愛いとは思うけど、それとこれとはまったく違う。
ただ騒がしくて、耳障りなだけだと思うのは、俺が冷たいからなのかな?


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