僕のonly princess
それほど江本くんのことが好きだったから。
1年前に初めて見た江本くんの優しい笑顔が忘れられない。
あの笑顔を少しでも私に向けてもらえたら……
それは贅沢すぎる夢なのかもしれないけど、叶うチャンスは今しかない。
来るもの拒まずの江本くんでも私なんか相手にしてくれるかどうか不安もあった。
だけど、それよりも最初で最後のチャンスだと思った私は、夢中で江本くんに声を掛けて告白していた。
江本くんはやっぱり別れたばかりでフリーだった。
私のことも拒まずに、付き合おうって言ってくれた。
そこに江本くんの気持ちがなくても、私には嬉しかったんだ。
いつまで続くかわからない時間だけど、たとえ短い時間でも江本くんの笑顔を見ていられるなら、私はそれだけでいいと心から思っていた。
さっきの彼女達の言うことは正しいのかもしれない。
少なくとも私に関することはその通りだ。
だけど、江本くんが“ちゃんと”お付き合いできない人みたいに言うのだけは、我慢できない。
江本くんは色々噂されているけど、本当は心の綺麗な優しい人だと思うから。
自惚れかもしれないけど、私に向けてくれる笑顔に嘘はないって、思えるから。
だからどんなことを言われても、江本くんが私と付き合ってくれている間は誰にも何も言われたくない。
私ってこんなに強情だったかな?と自分でもびっくりするけど、それが本音。
誰に何を言われても、私は揺るがないとそう自分の心に誓った。