僕のonly princess
目を見開て固まる私を彼女達はいつもにも増して、嘲るように口角を上げて笑った。
「あなたみたいな子が薫くんにつり合うわけがないのよ!」
そう言葉を吐き出した彼女達は、私を卑しむような目で睨んで立ち去って行った。
私はキリキリと痛む胸を押さえるように、制服を掴んで唇を噛み締めた。
「……結花?」
「……勇也」
突然、心配げな声で呼ばれて顔を上げると、そこにいたのは訝しそうに眉を寄せる幼馴染だった。
「こんなとこで何してんだ?」
「……人と待ち合わせをしていて」
「相手は江本薫とかっていう男か?」
普段も声の低い勇也がもっと低い声で訊ねた。
江本くんの名前が出てきたことにも、勇也のムッとしたような顔にもびっくりして私は目を丸くしてコクリと頷いた。
「さっき、お前変な女たちに言いがかりつけられてただろ。それも江本が関係してんの?」
勇也がまさかさっきの彼女達を見ていたとは思わなくて、更にびっくりした私はすぐに返事ができなかった。
そんな私に勇也はますます機嫌が悪くなったのか、眉間に寄せた皺が深くなった。