僕のonly princess
闇を照らす温もり
毎日、何も変わらないと思っていた。
学校へ行って吾郎達とバカやって、結花ちゃんと放課後や週末にデートして。
今まで全く感じたことがなかった穏やかな毎日に、俺は浮かれていたんだ。
そのすべては結花ちゃんのおかげなのに、最近、その結花ちゃんの様子が少しおかしい。
俺と一緒に過ごしている結花ちゃんは、相変わらず小動物みたいに可愛らしくて。
俺を癒してくれる笑顔も変わらず見せてくれる。
一見、何もおかしなところはないように見えるけど、時々ふとした時に疲れたような憂いた顔をする。
「どうかしたの?」
無意識なのか、隣を歩いていた結花ちゃんが小さな溜息を吐いた。
声を掛けた俺を一瞬、ハッとして見上げた結花ちゃんはすぐに笑顔を浮かべて首を振った。
「何でもないよ。今日は体育の授業があったから疲れただけ」
そう言って微笑む結花ちゃんは、どこか無理をしているように見えて。
俺の中で小さな不安が生まれた。
だけど。
何か結花ちゃんを悩ませるようなことをしただろうか……
と考えてみても、何も思い当たらない俺は結花ちゃんの小さな変化に不安の種を重ねながらも何もできないでいた。
本当はこの時、ちゃんと聞き出して結花ちゃんと向き合っていればよかったのに。
俺がそう後悔するのは、もう少し先のことだ。