僕のonly princess
「え、江本くん?」
クスクス笑い続ける俺を不思議そうに大きな丸い黒目がちな瞳で見つめて、ゆいかちゃんが小さく俺の名前を呼んだ。
にっこりとゆいかちゃんに笑いかけて、「ごめんね」と謝るとゆいかちゃんはまた顔を真っ赤にさせて大きく首を左右に振る。
「あのっ、江本くん。私、あの…」
「俺がどんな男か知ってる?」
また必死な顔で言葉を紡ぎ出したゆいかちゃんを遮るように、ダイレクトな質問をぶつける。
恋とか男とか、全然知らなそうで。
いかにも純粋で真っ白な印象のゆいかちゃん。
そんな彼女が続ける言葉を暗に牽制する。
君みたいな女の子は、俺みたいな男にひっかかっちゃだめなんだよ。
ゆいかちゃんはそんな俺の心の呟きを知るわけもなく、俺の質問に小さく、でもはっきりと「はい」と答えた。
「江本くんのことは色々噂で聞きます。でも…それでも、私は江本くんが…好きなので……よかったら、お付き合いして下さいっ!」
りんごよりももっと赤い顔で、懸命に俺の目を見つめるゆいかちゃんは、ガバッと勢いよく頭を下げて言い切った。