僕のonly princess


「小さい子って意外と順応性あるし、そんなに構えなくても薫くんのことちゃんと好きになってくれるよ」


そう自信満々に言う結花ちゃんは、子供に慣れているのかな。
以前、デート中にショッピングセンターで迷子の男の子に戸惑いもなく声を掛けて結花ちゃん。
あの時も子供と話を合わせて笑顔にさせていたのを思い出して、結花ちゃんには小さい弟か妹がいるのかな……とふと思った。


「結花ちゃんは小さい子に慣れてるよね。弟か妹がいるの?」


そう質問したのは自然な流れだと思う。
だけど、今度は結花ちゃんが俺のその質問に戸惑いを見せた。


「……うん、まぁそんなところ」


歯切れの悪い答えに首を傾げると、結花ちゃんは取り繕うように慌てて笑顔になった。


「私、小さい子達とよく遊ぶの。周りにそういう子達がたくさんいて」


「へぇ、そうなんだ」


なんだか不自然な答えに疑問を持ったけれど、結花ちゃんの落ち着かない様子に聞いてはいけないような気がして、俺はそれ以上、そのことには触れなかった。


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