僕のonly princess
「小さい子って本当に可愛いから、薫くんもきっと姪っ子ちゃんのこと気に入ると思うな」
「そうかな?」
「うん!絶対」
やっぱり自信満々に頷く結花ちゃんに俺は笑顔で頷いて見せた。
姪っ子……佐知と俺じゃない男の子供。
そんな風に思っちゃいけないってわかっていても、佐知の子供を見た時の俺自身の気持ちが怖かった。
結花ちゃんが言うように俺にもその子を純粋に可愛く思えるだろうか……
「お姉さんにも姪っ子ちゃんにも会えるの楽しみだね」
自分のことのように笑顔でそう言う結花ちゃんに、俺は小さな悪戯心が湧いた。
「……俺が姪っ子に夢中になっても結花ちゃんは平気?」
そうニヤッと口角を上げて、バカなことを訊く。
結花ちゃんはそれに驚いて、でもわかりやすく顔を赤くして視線を泳がせた。
「だって、相手は1歳の女の子だし…薫くんの姪っ子ちゃんだし……」
「姪っ子が俺のことを大好きになったら、ヤキモチ妬いてくれる?」
「っ…ゴホッゴホッ…」
バカな俺の質問に結花ちゃんは顔を真っ赤にさせて飲んでいた紅茶を喉に詰まらせた。
涙目になって咳き込む結花ちゃんの背中に俺が手を回して、軽く撫でると結花ちゃんは赤い顔をさらに赤くさせて潤んだ瞳で俺を見上げた。
……からかい過ぎた。
その表情、ヤバい。