僕のonly princess
「ごめんね、冗談」
苦笑いする俺に結花ちゃんは「もう」と口を尖らせて拗ねる。
可愛らしい仕草に思わず、俺は吹き出すように笑った。
「薫くん!」
笑う俺に結花ちゃんは怒って見せるけど、ますます可愛くなるだけで全然効果はない。
ひとしきり笑った俺は、拗ねてしまった結花ちゃんの目を見て「ごめんね」と笑いかけた。
「でも、俺のことを一番好きでいてくれるのは結花ちゃんがいいな」
じっと見つめて、少し真剣な顔で俺が言った言葉に結花ちゃんは目を丸くした。
自分のことは棚に上げて、こんなことを言う俺は本当に我儘だ。
だけど、これは俺の本音。
他の誰かじゃなくて俺は結花ちゃんに好きでいてもらいたい。
「……他の人の気持ちはわからないけど、私は薫くんが…大好きだよ。誰にも負けないくらい……」
「………」
自分で仕掛けておきながら、真剣な顔で紡がれた結花ちゃんの言葉に、俺は息を呑んだ。
結花ちゃんが俺のことを誰にも負けないくらい好きだと言ってくれることが、驚きと同時に限りなく嬉しかった。
「……ありがとう。嬉しいよ」
微笑んで本音で伝えた俺に、結花ちゃんはやっぱり顔を真っ赤にさせて恥ずかしそうに手元を見つめる。