僕のonly princess
きっと熱くなってるその赤い頬にどうしようもなく触れてみたくなって。
俺はそっと手を伸ばして指先で結花ちゃんの頬をゆっくりと撫でた。
「真っ赤だね。可愛い」
「か、薫くん……」
俺が頬を撫でるたびにピクッと肩を震わせる結花ちゃんは、潤んだ瞳で困ったように眉を下げている。
そんな結花ちゃんが可愛らしくて、俺はクスクスと微かな笑い声を上げた。
胸の中に温かくて、優しい気持ちが溢れる。
「結花ちゃんのおかげで、今日は頑張れそうだよ」
これから訪れるだろう心の闇も、この温かさを思い出せばどうにでもできる気がする。
どうしてそう思えたのかは、わからないけど。
佐知を想う闇よりも、結花ちゃんがくれる温かさの方がずっと大きいと、俺は本当にそう思っていた。