僕のonly princess
俺のところへ告白しにくる女の子は、俺の“来る者拒まず”の噂のせいなのか、大抵、媚を売るような声と仕草で迫ってくる。
自分の武器を知り尽くしていて、それを猛アピールしてくる子達は、愚かで。だけど、その愚かさは可愛いと思う。
だから感情は揺れないけど、付き合う選択をするんだけど。
今、俺の目の前で必死に頭を下げているこの子は、そんな女の子達と正反対。
媚を売るとか無縁な感じで、ただ必死に気持ちを伝えてくれるゆいかちゃんに、いつもと違う何かが心に湧いた。
「…俺のこと、どんな男か知っててもいいの?」
もう一度、確かめるように訊くと「はい」とまた小さく答えて、ゆいかちゃんは顔を上げた。
「……、」
俺を見つめた瞳が思っていたよりずっと真剣で。
大きな黒目がちな瞳が、とても綺麗に見えた。
「いいよ。今さっき、フリーになったばっかりだから付き合おっか」
自分の心に湧いた何かを掻き消すように、俺は軽いトーンでゆいかちゃんに笑いかけた。