僕のonly princess


丁寧に包みを開けると、中には箱に収まったシルバーのペンが出てきた。


シンプルで、スタイリッシュなそのペンは俺が財布や時計などの小物をずっと愛用しているブランドのもので。
驚きでいっぱいになった。


「あの……」


「理さんったら、薫へのお土産を一番迷っていたのよ」


「……佐知子」


驚く俺に笑顔で教えてくれた佐知を諌める山岡さんは少し照れた顔をしている。


「ありがとうございます。大切にします」


山岡さんが俺に心を砕いてくれたくれたことも、それを嬉しそうに教えてくれる佐知の笑顔もすごく嬉しくて、俺は鼻の奥がツンッと痛くなるのを必死に我慢してお礼を言った。


「ああ。薫くんが使ってくれたら嬉しい」


「……はい」


優しく笑う山岡さんに俺も笑顔を返しながら頷いて、箱の中で光るペンを見つめた。




シンプルで飾り気がないのに、かっこよくて。




それはまるで山岡さんみたいだと思った。





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