僕のonly princess


「俺に言えなかったのは俺じゃ頼りにならないから?」


「そ、そんなことない!でも……ごめんなさい」


この期に及んで責めるような言い方をする俺は、本当に性格が悪い。
倉石くんが知っているのに、俺は何も知らなかった。
気付けなかった自分が悪いのに、それを棚に上げて結花ちゃんを責めるなんて本当に愚かな自分に嫌気がさす。


俺の言葉を否定して、でも小さな声で謝る結花ちゃんはずっと俯いたまま。
その細すぎる肩が微かに震えている。


大切な子をこんな風に傷つける俺は、結花ちゃんに嫌がらせをする奴らと何も変わらないのかもしれない。


そんな自分に自虐的な笑みが漏れる。


「元はと言えば俺のせいだよね。こんなどうしようもない俺と一緒にいるから……傷つけてごめんね。………別れようか」


「―――――ぇ?」


絞り出すように言った俺に結花ちゃんは徐に顔を上げて、目を見開いて微かに声を出した。
見開かれた大きな瞳が揺れて、悲しそうに顔を歪める。


「俺といても幸せにはなれないよ」


俺は別れの時に告げるいつもと同じ台詞を結花ちゃんに告げた。


この言葉を口にすることがこんなにもつらいなんて思ったことがない。
抑揚のない言葉は自分でも引くほど冷たく響いた。
それは自分の気持ちに反している言葉だから。
本当は結花ちゃんには告げたくない言葉だったから。


そのせいで冷たく響いた俺の言葉を結花ちゃんは悲しみの溢れた顔で聞いていた。


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