僕のonly princess
駅の改札口の前で告白なんてやり取りをしていたから、俺達は行き交うたくさんの人達からの視線を集めていた。
俺は当然それに気付いていたけど、特に何も思わない。
でも俺からの返事を聞いて、ホッとした様子のゆいかちゃんはそこでやっと周りからの好奇心たっぷりの視線に気付いた。
真っ赤な顔で慌てる姿は小動物みたいで可愛くて、俺は自分も当事者のくせに他人事みたいに笑っていた。
でもあんまりゆいかちゃんが恥ずかしそうにするから、ちょっと可哀想になって改札口から離れた売店の影に連れてきた。
さっきからゆいかちゃんが「ごめんなさい」と謝っているのは、俺にも恥ずかしい思いをさせたと思っているんだろう。
でも俺には元々、そういうことに関する羞恥心が欠けているらしくゆいかちゃんみたいに恥ずかしいとは思わない。
だからまだ必死に謝っているゆいかちゃんに、「平気だから気にしないで」と笑ってみせた。
そんな俺にゆいかちゃんは一瞬、動きを止めて大きな目を瞬かせた。
ゆいかちゃんの目を見て笑顔を浮かべる俺に、ゆいかちゃんの顔がまたりんごのように真っ赤に染まっていく。
ホント、わかりやすい子だな。