僕のonly princess
「結花ちゃんっ!」
校門に辿り着くと、落ち着きのない様子で立っている結花ちゃんが目に飛び込んできた。
彼女の目の前には誰だか知らない男が二人いて、心配した通りの状況に俺の焦りは結花ちゃんに声を掛けている男達への苛立ちに変わった。
「か……薫くん」
俺の声に結花ちゃんは俯いていた顔を上げて、か細い声で俺の名前を呼んだ。
その表情はどうしていいのかわからないと困っているように眉を下げていて、すごく頼りなさげだ。
男からすれば、こんな顔されたらひとたまりもない。
結花ちゃんの目の前に立つ男達もそう思っているんだろう。
ひどく締まりのない顔で結花ちゃんに欲望の篭った眼差しを向けている。
ふざけんな!
心の中でそいつらに悪態をついて、キッと睨みつけた。
「結花ちゃん、行くよ」
俺は大股で結花ちゃんに近づいて、目の前の男達との間に入って結花ちゃんの手を取った。
「なんだよ、もう王子様の登場かよ。もっと話してたかったのになぁ」
結花ちゃんを隠すように立った俺を見て、そいつらはニヤニヤしたままふざけたことを言う。
俺は無言でもう一度そいつらを睨みつけると、そのまま結花ちゃんの手を引いて乱暴に歩き出した。