僕のonly princess


「薫くんに嫌われたとか、他に好きな人ができたんなら……嫌だけど、でも諦められる。だけど、私が幸せになれないからって理由じゃ、薫くんを諦めるなんてできない」


結花ちゃんは普段は見せない凛とした強い瞳と口調ではっきりと言った。
結花ちゃんの言葉が嬉しいと思う。
こんなどうしようもない俺をこんなにも好きだと示してくれる結花ちゃんが、愛しくて堪らない。


一瞬、全部忘れて結花ちゃんの細い肩を抱き締めようと手を伸ばしてしまいそうになった。
でも結花ちゃんの続けた言葉が、その俺の手を止めさせた。


「嫌がらせにだって、負けないから。だから……」


「……俺、新しい彼女ができたんだ。だからもう諦めてよ」


俺は結花ちゃんを無表情で見ながら、冷たく響く声で告げた。


「……え?」


結花ちゃんは息を止めて、目を見開いている。
結花ちゃんに別れを告げてからまだ1週間も経っていないんだから、こんなに驚くのは無理もない。
でも今までの俺なら何の不思議もないことだ。
だって、結花ちゃんと付き合い始めたのだって、前の彼女と別れたその日だったんだから。


それだけ俺は最低な男だよ。
だからもう、俺のことは忘れて……


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