僕のonly princess

「そういうことだから。もうあんなところに来ないでね」


俺は結花ちゃんの悲しそうな顔を見ていられなくて、視線を逸らすとそれだけ呟いて結花ちゃんの前から立ち去った。


……本当は、新しい彼女なんていない。


どこでどう聞いてきたのか、結花ちゃんと別れてすぐ俺に言い寄ってくる女の子は何人かいたけど、今回は誰とも付き合いたいと思わなくて全部断っていた。


色々面倒だからと来るもの拒まずだった俺が、結花ちゃん以外の女の子と今までのように形だけでも恋人になるなんて、無理だと心が拒否していたんだ。


佐知の時には佐知以外なら誰でも同じだからと、心のない付き合いでもOKできた。
虚しいだけの関係でも、拒否なんてしなかった。


でも今は、結花ちゃん以外は無理だと心が拒否する。
形だけだと言っても、もう結花ちゃん以外の女の子とそういう関係になれない。


とは言っても、結花ちゃんにああ言ってしまったんだから誰かと付き合わないといけないか。
俺のさっきの言葉が結花ちゃんに嘘だとバレる前に、新しい彼女を作らなきゃな。


……そう思うだけで、気が滅入る。