僕のonly princess


しかしタイミングと言うのは恐ろしいもので。
その帰り、駅で俺を待ち伏せしていた女の子に告白された。
結花ちゃん以外の女の子は俺にとって誰でも同じ。
心はやっぱり拒否するけど、俺はその告白に首を縦に振った。


その子が清稜女学院の制服を着ていたことも目に入らないくらい、相手のことはどうでもよかった。
だけど、それが間違った選択だったと愚かな俺が気付くのはまだ先のこと。


告白してきたその子、中村理穂子が結花ちゃんに嫌がらせをしていた張本人だとも知らずに俺は一番受けてはいけない子の告白を受けていた。



理穂子ちゃんは俺が知る清稜女学院の女の子そのものだった。


自分に自信があって、高飛車で。
俺の見かけだけがいいんだとすぐにわかった。
周りに見せつけるように俺と腕を組んで、優越感いっぱいに歩く姿に隣を歩きながら吐き気さえ覚える。


それでももうどうでもいい俺は、理穂子ちゃんに付き合って彼女の乞うままに振る舞う。
そうすることにも、彼女自身にも心は拒否して悲鳴を上げているけど、俺はそんな自分の心を無理やり無視していた。


結花ちゃんがこんな俺に呆れてしまうまで。
俺のことなんか忘れて、前を向いて進みだすまで。


そう心に言い聞かせて俺は耐えるように、理穂子ちゃんと付き合う日々を続けていた。



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