深海魚Lover
あの紅葉のように真赤に染まる君の頬を抓った。


目覚めれば、そこに貴女は必ず居てくれる。

私の手が貴女に届く。


その手を解けないように握りしめて歩く。


端の真ん中、すれ違う影----


「わぁーい」

「ジュンジ、危ないぞ」

「ジュン君、待ってぇ」


貴女と繋いだ手が解け、この俺を呼び止める声が聞こえる。


「アンタ、加瀬組さんとこの
 
 名はイズモ、ちゃう(違う)
 確かキョウ言われてた」


振り返る俺の目に映るのは、男。

ヤクザな風貌のその男に俺は見覚えがある。


『キャー』

『来るな!

 ……

 俺のことはいいから
 ここから逃げるんだ、早くしろ』

『嫌よ……

 指図しないで……』
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