深海魚Lover
「おっ、土産じゃん食べようぜ
 ちょうど腹減ったとこ」

「そうっすね、お饅頭なんて
 どうっすか?」

「それは、八つ橋だ」


京次さんの声は、ほんの少し不機嫌気味。


「ああヤツハシ
 それ食いましょう

 メイちゃん、お茶淹れてくれる?」


『ジュン、お茶淹れてくれるか?』


京次と出雲の脳裏に蘇る光景。

それはとても懐かしく、とても甘い。

長い黒髪にふと目をやる、二人。


今日の髪型は、サイドの髪をお団子にまとめてそこには京次さんに頂いたかんざしが挿してある。

背中越し、二人の視線に私は気づかない。


シーンとなる家の中----


「メイちゃん、お茶?」

「あっ、今すぐ淹れますね
 
 私ったらボーッとして
 気がつかなくてごめ(んなさい)……」
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