深海魚Lover
「ハハッ、この俺達も舐められたもんだな

 上のもん(人間)に立てついて
 組長の座が手に入るとは思わない
 方がいいぜ

 身の丈を考えな」

「そうだぞ、シナガワ」

「フンッ、身の丈?上等じゃないですか
 
 極道もんは強くあってこそ何ぼ
 のはずでしょう
 
 ただ年を食ってるだけのお抱え組員に
 この際要はないっすよ

 世間とはかけ離れた場所に在るくせに
 そこだけは律儀に縦社会

 そんなもの、ぶっ潰させて頂きます」

「ほうほう、相変わらず
 口だけは達者じゃねえか

 この間、尻尾巻いて帰って行った
 奴の言うことじゃねえな……」


その時だった、ずっと後方で話を聞いていた男が四奈川の肩を叩いて前へと出て来た。

四奈川の横に並んで立った彼はサングラスを外す。


「そうか、ロウ、おまえのおでましか?」

「右田のアニキ、ご無沙汰しています
 お変わりないようで」
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