深海魚Lover
充を引き連れて帰って行く出雲の後姿を見送る垣村の傍に、右田が現れた。

「兄弟、カシラは?」

「それが用があるとかで
 たった今、帰られた

 まだそこに……」

「いやっ、まあ
 今日のところはいいんだ
 
 それで兄弟、親父が薄田の叔父貴を
 呼んでくれとのことでついさっき
 連絡を取ったらすぐ近くまで来て
 いるそうだ

 叔父貴が到着次第、加瀬組に
 とって大事な話になるぞ」

「舎弟頭のお出ましと言うことは
 組長交代の話」

「ああ、だろうな

 そこで兄弟
 峰の叔父貴に邪魔されることの
 ないように見張りを立てて置く
 必要があるな」

「それは、俺に任せてくれ」

「ああ頼む」


出雲の知らないところで事は動き出す。

本来あるべき場所に慎重に駒を動かす。


時刻は、20時をさす----
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