深海魚Lover
貴方の手で、私の心は手当てを受けた。

私の心は、見る見るうちに元気になってゆく。


未来は、何だかとっても楽しそう。


ううん、楽しい事ばかりでなくてもいいの。

誰かを死ぬほど愛して愛されて、私は今、生きてるんだってことさえ実感できれば!

明日も生きていたいけど、死んじゃっても悔いはないと言える人生を。


今度は私が貴方の頭を撫でてあげて、貴方の傷ついた心を優しく手当てしてあげたい。



ここは、京次さんのお家の居間

時刻は、13時---


部屋の真ん中にどーんと置かれてある、大きなテーブルにいつものように並んで私達は座る。

私は今、自分の家から持ってきた画材をテーブルいっぱい広げて絵本の表紙を書いている。


「スガちゃん
 それ、えらくダークだな」

「そうですか
 海の底ってこんな感じですよ」


毒っ気たっぷりの絵は、お子様には不向きですか?


「絵本で、リアルは追求しない!

 行き過ぎは厳禁だ


 それ、ガキが見て泣くよ
 
 そうだなぁ~

 海のてっぺんは、あれぐらい
 明るいんじゃねえの」


京次さんは、広がる青空を指差した。
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