深海魚Lover
この胸を貫く、言葉----

京次さんの私への想いを聞いて熱くなる胸

ドキドキと逸る鼓動

そして、そっと背中に添えられた京次さんの手の温もり

三つに後押しされて私はハッキリとした声で言うの。


「砂賀芽衣子と言います
 
 どうぞよろしくお願いします」


ペコリと頭を下げる私に聞こえた声。


「親父、アンタの好きなスルメイカ
 じゃねえぞ
 
 くれぐれも間違えないように」


茶目っ気たっぷりの表情をした京次さん。


「もう、それはケイジさんじゃないですか」

「ああ、そうだっけ?

 あっ、でももうすぐ井原芽衣子に
 なるんだよな

 これでもう間違えなくてすむな」

「はい!井原芽衣子
 とっても素敵な名前です」

「気に入ったところでお開きとしますか

 親父に絢、また来るわ

 さあ、今度こそジュンジを
 迎えに行くぞ」

「はい、行きましょう」


停めてある車の元へと辿り着いたその時----

運転席の扉を開けた京次に聞こえる声。


『キョンさん』

「呼んだか?」


振り返るとそこには誰も居ず、芽衣子はもう助手席に座っている。
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