深海魚Lover
そしたら思ったよりも出来が良くて、その絵を何かの賞に応募したらあっさり当選、その後、私の絵は同性に好評を得てハッピーなことにそれが仕事になり今も継続中。

私の日々は、大好きなものに囲まれて思いっきり充実していた。


充実……?

そう、ただひとつの想いを除いては!


本を読む事が大好きな私は、絵を描きあげた後はきまって本のページを夢中で捲るの。

知ってる内容でも好きな作品は何度でも何度でも読み漁る。

飲み物が多少、本に零れても構わない。

読みながら食べてるお菓子のカスなんて、この際気にしない。


だって私は今、現実の世界にはいない。

いるのは、空想の世界。

空想の世界で私はヒロインになってドキドキしたりワクワクしたり、時には醜態を晒して好きな男性を奪ったり、ただ泣いてるだけの女の子だったり、男を蹴散らす勇敢な女の子だったりする。

でもいくら主人公になって読み耽っても結局私は私で主人公にはなれなくて、読み終えた後にはほんの少し落ち込む私がいた。


この子は、ワタシじゃない!
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