おさななじみ五人組!~五つの恋の物語~
そろった五人組
1 帰ってきました!
桜の花がひらひら舞い落ちて行く。
春の陽気な風が吹く中、私たちののった車は桜並木の中を進んでいく。
ああ、すごく楽しみだなぁ!
私・新川 琴花(にいかわ ことか)が、車から体を乗り出すようにして窓の外をみていると、運転席のパパが笑って声をかけてきた。
「琴花、そんなに身をのりだしてるとおちるぞ?」
「へいっきだもん!」
私は笑って、窓の外を眺めつづける。
一回、ものすごい勢いで、不良さんらしき方々の乗ったバイクが走り抜けたけど、だいじょぶだいじょぶ!
「今色市にもとうとうあんなのがではじめたか・・・」
パパがびっくりしたようにぶつぶついってる。
「でも、懐かしいわね、今色市に帰ってくるのも・・・何年ぶりかしら?」
パパの隣で、ママもにこにこと笑った。
私たち新川一家は、パパのお仕事の関係で、ずっと違う県にいたんだけど、
私が高校生になるのをきっかけに、小学校まですんでた今色市に戻ることになったんだ。
私はワクワクしながら窓の外を眺める。
あっ、みえてきた、前私が住んでいた街!
・・・みんな元気にしてるかなぁ?
幼稚園のころからのつきあいの、4人の顔を思い浮かべて、私は一人、にっこりと笑った。