❁History❁
皇帝のいる酪陽へは船で移動。
中国の南北を結ぶ、大運河だ。
「方々を旅する意の、南船北馬という言葉は中国のことをいっていたんだったな」
一人でそう呟くも、周りには誰もいない。
「太子......」
ぼくは太子と出会った時のことを思い出した。
比較的真面目な性格ということで
親しい人などあまりいなく、
ぼくが遣隋使で冠位5位に昇格すると
知られた時、
周りからの視線が鋭かったことを覚えている。
自分でも
なんでぼくが.....
と思っていた。
でもそんな時、優しく受けとめてくれたのは
──────太子だった。
宜しくな、と言い
にこっと笑ってくれた。
その時、ぼくは
この人のようになりたい
と強く思ったのだった。