❁History❁
「倭国に帰ったら皆にどう言われるだろうか」
大事な書を預かった身として、
皇帝にきちんと無礼無く対応し
国書を預けなければいけない。
無くした、などは論外だ。
その場合は処刑だろう。
遣隋使になった当時以上に皆から
冷めた目で見られるに違いない。
そんな被害妄想をすると、
やっぱり思い出すのは太子だ。
あの素敵な振る舞いを
ぼくは一生忘れない。
「さて、もう数分で着きそうだ」
ぼくは太子が書いた国書を開いてみた。
「日出ずる処の天子
書を
日没する処の天子に致す
つつがなきゃ.....
へえ、良い書き出しですね」
そして書を閉じ、船を降りた。