甘く熱いキスで
「見つかったのよ。今は、シンデレラ王子を捜索中よ」
「っ!いい加減にしろよ、ユリア!」
「ちょっと、痛い!この馬鹿力!」
グッと力強く腕を引かれて、ユリアはアルフォンスの方へと身体を傾ける。ユリアがアルフォンスを睨むと、彼は少し力を緩めたものの、ユリアを離そうとはしなかった。
「運命だ、キスだ、って、ユリアは自分の立場を全然理解してない。しかも見つけた相手は軍部のやつだって?ヴォルフ伯父さんがやっと収めたっていう議会の対立を蒸し返すつもりかよ!」
「私は、お母様とお父様のように自由な恋愛をしたいだけよ」
ユリアの両親――現国王夫妻――は、身分の差を乗り越えて結ばれた。城下町でピアノ講師をしていた母フローラを見初めた父ヴォルフは、彼女を宮廷ピアニストとしてフラメ城へ招き、想いを実らせたという。
ユリアは彼らの恋物語にずっと憧れていた。ユリアが小さな頃からいつも寄り添っていて、離れることなんて見たことがないくらいの仲睦まじい夫婦に。ユリアたち子供のことも愛してくれているけれど、お互いを一番愛していることがわかる父と母は、ユリアの自慢なのだ。
伯父や伯母が教えてくれた2人の馴れ初めや、結ばれるまでに乗り越えた試練の物語は、ユリアが今まで読んだどんな本よりも情熱的なハッピーエンドの物語――いや、現在進行形で続く愛の物語だ。
「ユリアがそのつもりでも、周りはそうは思わないだろ!議会が荒れるのは必至だ。ユリアは恋に恋してるだけだ。伯父さんと伯母さんに憧れてるだけだろ?一瞬で燃え上がるだけが“好き”じゃない。俺は――」
「アル。私は何度も言っているわ。貴方のことは、カイと同じにしか見られないって」
議会が荒れない――つまり、それなりの身分で対立する2派には属さない男。尚且つ、一瞬で燃え上がる恋ではなく、ずっとユリアを想ってきた男。それが、アルフォンスだった。
幼い頃からユリアにくっついて、年頃になると「ユリアが好き」「ユリアと結婚する」と言い出した従兄弟は、しかし、ユリアにとってはすぐ下の弟カイと同じような存在でしかない。
「っ!いい加減にしろよ、ユリア!」
「ちょっと、痛い!この馬鹿力!」
グッと力強く腕を引かれて、ユリアはアルフォンスの方へと身体を傾ける。ユリアがアルフォンスを睨むと、彼は少し力を緩めたものの、ユリアを離そうとはしなかった。
「運命だ、キスだ、って、ユリアは自分の立場を全然理解してない。しかも見つけた相手は軍部のやつだって?ヴォルフ伯父さんがやっと収めたっていう議会の対立を蒸し返すつもりかよ!」
「私は、お母様とお父様のように自由な恋愛をしたいだけよ」
ユリアの両親――現国王夫妻――は、身分の差を乗り越えて結ばれた。城下町でピアノ講師をしていた母フローラを見初めた父ヴォルフは、彼女を宮廷ピアニストとしてフラメ城へ招き、想いを実らせたという。
ユリアは彼らの恋物語にずっと憧れていた。ユリアが小さな頃からいつも寄り添っていて、離れることなんて見たことがないくらいの仲睦まじい夫婦に。ユリアたち子供のことも愛してくれているけれど、お互いを一番愛していることがわかる父と母は、ユリアの自慢なのだ。
伯父や伯母が教えてくれた2人の馴れ初めや、結ばれるまでに乗り越えた試練の物語は、ユリアが今まで読んだどんな本よりも情熱的なハッピーエンドの物語――いや、現在進行形で続く愛の物語だ。
「ユリアがそのつもりでも、周りはそうは思わないだろ!議会が荒れるのは必至だ。ユリアは恋に恋してるだけだ。伯父さんと伯母さんに憧れてるだけだろ?一瞬で燃え上がるだけが“好き”じゃない。俺は――」
「アル。私は何度も言っているわ。貴方のことは、カイと同じにしか見られないって」
議会が荒れない――つまり、それなりの身分で対立する2派には属さない男。尚且つ、一瞬で燃え上がる恋ではなく、ずっとユリアを想ってきた男。それが、アルフォンスだった。
幼い頃からユリアにくっついて、年頃になると「ユリアが好き」「ユリアと結婚する」と言い出した従兄弟は、しかし、ユリアにとってはすぐ下の弟カイと同じような存在でしかない。