甘く熱いキスで
「この度はライナーがご迷惑をお掛けしたようで、申し訳ありませんでした。せっかくユリア様にお目を掛けていただいているのに、こんな騒ぎを起こして困ったものです」

ライナーとは違う青い瞳を細め、蓄えている白髭を撫でながら笑うベンノには、ライナーを陥れた者たちと同じ差別的なニュアンスが含まれている。

「いやぁ、ユリア様がライナーを気に入ってくださって、カペル家は安泰だと思っていたのですがねぇ。私からもきつく指導をしておきましたので、今回の件は大目に見てやっていただきたい」

きつく指導をした――その言葉に、ユリアの瞳が揺れる。

きっと本当は、指導なんて易しいものではないのだろう。暴力を振るわれたのかもしれない、食事も与えられていなかったら……そんな悪い予感ばかりが過ぎった。

ベンノはユリアの様子を見て少し口角を上げ、猫撫で声を出す。

「謹慎は３日で良いとエルマー様にお許しをいただいていますが、しばらく北地区に行かせようかと思っていましてね。ライナーの本当の父親もいますから住む場所には困らないでしょうし、手続きも特別必要ないですから」
「え……？」

明日も、ライナーは城へ来ない……？
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