甘く熱いキスで

運命の分かれ道(1)

夜中に城を抜け、夜中に城を抜け、ライナーと会う。

そんなことを繰り返す日々を続けていたユリアがこっそりと自分の部屋へ戻ってくると、その日のバルコニーには、仁王立ちしたアルフォンスがいた。

「アル、こんな遅くに女性の部屋を訪ねるのは非常識よ」
「こんな遅くに、それも一国の王女様が軍人の廃屋を訪ねるのは非常識じゃないのかよ?」

予想はしていたが、案の定ユリアの行いを正そうとやってきたらしいアルフォンスにため息が漏れる。

「もうやめろよ!ライナーはベンノじいさんに命令されてユリアに近づいてるだけだ。このままじゃ、傷つくのはユリアだぞ」
「そんなのアルの思い込みよ。ライナーは、ちゃんと私と向き合ってくれているわ。ご両親のことも、少しずつ話してくれている。私はライナーを信じているの」

ユリアが窓に手を掛けると、その手をアルフォンスが掴む。

「ライナーが帰ってこないのは、ベンノじいさんの気まぐれなんかじゃない。城にいると邪魔だからだ」
「そうでしょうね。ベンノ・カペルはライナーを利用したかったのに、ライナーは私のせいでヴィエント王国での功績をなくしてしまったもの。あの人が怒るのは当然だわ」
「そうじゃない。邪魔なのは、俺みたいな……ユリアとライナーの仲を危惧している人間のことだ」

アルフォンスの説明に、ユリアはため息をついて自分の手に重なっている彼の手を払う。しかし、アルフォンスはユリアの肩を掴んでアルフォンスと向き合うようにさせた。
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