甘く熱いキスで
自分を壁に押し付ける腕は、18歳になって軍に配属されてからまた逞しくなったし、顔立ちも幼さが抜けてきた。ハッキリとした顔立ちや今は閉じられた赤みがかった瞳は、ブレネン家の血を映している。
ユリアはそれをじっと見つめながら、外見は男らしく成長してきたのに……と、やはり姉のような気分になった。そして、唇が触れる寸前でフッと息を吹きかける。
「――っ、あっつ、ぐ、ぅ……」
その瞬間、アルフォンスは唇を押さえてユリアの前にしゃがみこんだ。打って変って涙目でユリアを見上げる彼に、ユリアは勝利の笑みを浮かべてフン、と鼻を鳴らした。
「だから燃えるって言ったでしょ」
「ははらってふひはひはひはお!」
――だからって口は痛いだろ、と言ったのだと思う。
「早く医務室へいってらっしゃい。クラドールのお姉さんに優しくトラッタメントを施していただくことね。そこから運命が始まることもあるかもしれないわ」
尤も、自分たちの両親ほどの年齢の女性、それも赤ん坊のころからユリアやアルフォンスを知っているクラドールがアルフォンスを男として見るとは思えないが。
ユリアはわざとドレスの裾をひらりとなびかせて、今しがたやってきた廊下を引き返した。
新人ではないのなら、ユリアの伯父でありフラメ王国軍の最高指揮官を務めているエルマーを訪ねるのが手っ取り早い。彼の執務室には、軍の名簿があるはずだ。
ユリアは少し早足になって、再び城を出た。
ユリアはそれをじっと見つめながら、外見は男らしく成長してきたのに……と、やはり姉のような気分になった。そして、唇が触れる寸前でフッと息を吹きかける。
「――っ、あっつ、ぐ、ぅ……」
その瞬間、アルフォンスは唇を押さえてユリアの前にしゃがみこんだ。打って変って涙目でユリアを見上げる彼に、ユリアは勝利の笑みを浮かべてフン、と鼻を鳴らした。
「だから燃えるって言ったでしょ」
「ははらってふひはひはひはお!」
――だからって口は痛いだろ、と言ったのだと思う。
「早く医務室へいってらっしゃい。クラドールのお姉さんに優しくトラッタメントを施していただくことね。そこから運命が始まることもあるかもしれないわ」
尤も、自分たちの両親ほどの年齢の女性、それも赤ん坊のころからユリアやアルフォンスを知っているクラドールがアルフォンスを男として見るとは思えないが。
ユリアはわざとドレスの裾をひらりとなびかせて、今しがたやってきた廊下を引き返した。
新人ではないのなら、ユリアの伯父でありフラメ王国軍の最高指揮官を務めているエルマーを訪ねるのが手っ取り早い。彼の執務室には、軍の名簿があるはずだ。
ユリアは少し早足になって、再び城を出た。