甘く熱いキスで
「ライナー……」

一番に視線が合ったとき、ライナーは確かにユリアを見て微笑んだ。それは、ユリアの願望だったのだろうか。

思い返せば、出会ったばかりの頃は冷たく鋭い瞳でユリアを見ていた。でも、だんだんとライナーの炎が垣間見えるようになって、肌を重ねるようになってからはそれが更に熱く燃えていたと感じていたのに、それも全部、何もかも……ユリアの都合のいい解釈だったのだろうか。

「ユリア……泣くな。ライナーのことは――」
「っ、やめて……!」

ふわりと……アルフォンスに抱き寄せられて、ユリアは彼の胸に両手を突っ張ろうともがいた。

「わかったような言い方しないで!」

アルフォンスはずっとライナーの上辺しか見ていなかった。今となってはそれが“正しい”判断だったのかもしれないが、ライナーと接してきたユリアよりも理解があるような言い方はされたくなかった。

ユリアはまた流れてきた涙を拭って自嘲する。自分で口にして理解する――ユリアもきっと、ライナーにそう思われていたのだ。

何も知らないくせに、と。

「そうじゃない。俺も、知らないのはユリアと一緒だ。でも、ライナーがユリアと子供を見捨てたのは事実だろ?だから、あいつにはユリアの夫になる資格はないって思ってる。ユリア。俺と結婚しよう」

突然の申し出に、ひゅっと息が詰まる。

「何言って――」
「俺は本気だ。ライナーがユリアを捨てた今、ヴォルフ伯父さんが何をしようとするかくらいわかるだろ?」

そう言われて、ユリアはヴォルフの言葉を思い出す。
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